HIStory
今までの作品にない、ドロドロとした人間臭さがある。
このアルバムが出る前、マイコーはとても辛い経験をした。
傷つき、辱められ、裏切られ、荒れていた。
このアルバムで表現されているのは、世の中の汚い部分、自分が感じた怒り、恨み、悲しみといった、負の要素が多い。
そういった強烈な物を、フィルターを通さずに、ありのままぶつけたようなすさまじさを感じる。
だが、文句を言っているだけじゃなくて、そういった困難を乗り越えて行こうとする強さも伝わってくる。
しかも、周りと同じように汚い手を使ったり、妥協したりして乗り越えて行くのではなく、
リスクを承知で、今までと同じように、まっすぐ突き進んでいく態度を示している。
辛い事や激しい感情を、歌で表現し、浄化して、再び歩き出す。
大変なことだと思う。でも、そんな強くて美しいマイコーの生き様に、中1の時の私は幼いながらも心を打たれた。
もしもマイコーが誰からも攻撃されず、全てが上手く行っているスーパースターだったら、私はあまり興味を持たなかったかもしれない。
死ぬ程辛い事があっても、自分を信じて、信念を貫いて、乗り切って行く姿に魅力を感じたから。