Dangerous

dangerous

私が一番好きなアルバム。
この時期にマイコーはぐっと大人になって、成熟した魅力が増しているような気がします。
自分はどうやって生きていこうか、どうやって世界と関わって行こうか、その答えをはっきり見つけたような感じを受けます。
一曲一曲が、熟成していて、作り込まれていて、焦りや不満が感じられない。
多分、マイコー本人も、関係者の人々も一番満足した状態でリリースできたと思います。
全体としての流れも、物語のように自然で、それでいて自信が伝わってくるので、
安心して聞けるし、なんともいえない充足感を味わえます。

デンジャラスの世界は、ジャケットのイメージ通り、闇の中に極彩色が踊っているような、
ミステリアスで艶やな美しさを放っている。
聞いてみると、ただの「音」とは違って、美しい文学、絵画、彫刻を見た時のような気持ちになり、
本当にこれの正体がプラスチックケースに入っているただの円盤なのか、と思う程、
アルバム自体に大きな芸術作品のような存在感がある。
マイケルジャクソン、という人間も、「歌って踊れるスーパースター」という枠を超えて、
もっと高次元の美しい何かになったような気がして、ワクワクしてしまう。

Jam

この曲はあんまり意味が分からなくて、メロディーもそんなに好きじゃなかったのですが、
最近少しだけ解釈できるようになりました。
小論文の勉強をしていて、いろんな問題に関する知識とか、意見とかを考えたり、吸収したりしないといけないなーと思っていたのですが、
考えてみたら世の中問題だらけです。
貧困戦争格差情報洪水虚無誤解差別孤独環境汚染不景気あああああああ!!!
あっちの子供は栄養不足でばたばた死んで、そっちの子供は交流不足で心が空っぽ。
jamという単語は、歌詞カードでは「集中しろ」と書かれていますが、
元々の意味はこんな感じです。

「詰まって、混雑して、動きがとれない」っていう意味だから、
これは今の世界の状況を端的に表現した言葉でもあるように感じます。
どう手をつけるべきか、困ってしまう。
お友達が「後でね」といってしまうのも無理は無い。

"I Asked My Neighbor For A Favor She Said Later"

マイコーは、どうしたら良いと言っているのでしょうか。
メッセージはサビ以外の所に散らばっていてちょっと分かりにくい。
"Nation To Nation All The World Must Come Together"
"I Have To Find My Peace"
"You Can't Hurt Me I Found Peace Within Myself"

そして"It Ain't Too Much Stuff"と言い切ります。
なかなか頼もしい。

だけど、改めて見直してみてもやっぱりjamは分かりにくい。
何に対しての歌なのか、直接書いていないし、メッセージも抽象的だし、前後の繋がりも薄いし。。翻訳する人も苦労しただろう。
でも、複雑な世界の状況を表現するために、わざとまとまっていない歌詞を書いたんだと思う。
歌詞を見てみたら、サビのJamは動詞として使われているみたいだし、
「押し込め!詰め込め!」て意味なんでしょうか。
集中しろ。は、変化させすぎな気もするし…うーん。難しいですね。

Why You Wanna Trip On Me

私が初めてデンジャラスを聞いたときに、この曲はかなり聞きやすい方でした。
歌詞や主旨も分かりやすく、かっこいいボイパも楽しめる。
メロディーも耳に残りやすいです。

In The Closet

マドンナとデゥエットする計画もあったのですが、いろいろと考えにずれがあったようで結局実現しませんでした。
マドンナとプリンスとマイコウは、同じ時代に大活躍したアーティストであり、3人とも学年が同じという共通点も。
マドンナとは「生年月」まで同じ。
・・・話がそれました。
この曲、最初聞いたときに「…あれ?」て感じになって、ノリ辛くて消化不良な気持ちになったのですが、
何回も聞いて行くうちに、独特の音遣いとか、不思議なコーラスが気持ちよくなってきて、
今ではイントロのゆったりしたピアノの音を聞くだけでノリノリになります。(笑
この曲にあわせて適当に踊るのも楽しいです。音ハメがいっぱい出来る。

マイコーの喘ぎ声が当たり前のように収録されてるのもたまりません。
私は5分52秒あたりの声が好きですよ。

She Drives Me Wild

エンジンやクラクションなど車っぽい音が散りばめられていて楽しい。
サビの怪しげな感じはマイコー節炸裂で良いマイコー出汁が出てます。

Remember The Time

さらさらと流れるような感じでとっても聞きやすくて、気持ちいい曲です。
マイコー巻き舌上手です。

Can't Let Her Get Away

ゲームっぽい音が目立つライトな感じの曲。

そしてなんといっても、マイコウのラップが聞けるレアソング!!
ささやき声の早口語りはすごくかっこいいのに、ラップになるとなんでこんなに……なんでしょう。<

Heal The World

「どんな時でも大事に持ち続ける、心の財産」のような曲です。
ギターの柔らかい音と、マイコウのトロけそうな声が良い。
一番印象に残ったフレーズは、"I feel you are all my brothers"ってところ。
マイコーらしい、優しく地球を包み込むような博愛心を感じられます。
「地球を癒そう」って、そう簡単に出てくる言葉じゃないし、理想論すぎるかもしれない。
だけど、マイコーは本気で言ってるのです。一つ一つの美しい歌詞を、噛み締めるように、優しく丁寧に歌っていることから、彼の真摯な願いが伝わってきます。

私は、最後の壮大なコーラスがあまり好きじゃなかった(マイコーの声がきこえなくなるから)のですが、
マイコー一人の願いが、世界中にじわじわ広がって行くイメージなのかなと思ったら、
美しい希望のようなものを感じて、好きになりました。

Black Or White

マイコウの澄み切った声が、聞いていて心地良いです。
誰が聞いても自然に笑顔になれるような、明るい曲。
でも明るいメロディーの裏には熱いメッセージが込められてるんですよね。
「NUMBER ONES」の訳詞はかなり分かりやすいと思います。
ラップの前の歌詞に、"I ain't scared of no sheets"(シーツなんか怖くない)という部分があります。
Sheetsは、白人至上主義の人を示す隠語だそうです。シーツは白が多い事から、転じてこの意味になったよう。

Who Is It

どんなに自分が相手のことを思っていても、実らない思いはあるし、裏切られる事もある。
そして、それは誰が悪いわけでもなく、仕方のない事。それでも、自分だけは死ぬ程孤独で、傷ついている。
そんな辛くて不条理な気持ちが良く表現されていると感じました。
"And it doesn't seem to matter,And it doesn't seem right.Cuz the will has brought no fourune"という節が印象的。
気持ちだけじゃ、運はめぐってこない…か。
She's Out Of My Lifeで表現されている、愛する人を失った悲しい気持ちに加えて、ぐっと踏み込んだ内容だと思います。大人になったんだなぁ~
音遣いが複雑で手が込んでいる。コーラスにも癖になりそうな味があります。

Give In To Me

ガールフレンドを失ったマイコーは欲求不満になって一人で悶々している。という設定?
この曲を真面目に聞いたのは、「MJの真実」というインタビュー番組がきっかけ。
少しだけSFと曲が流れたのですが、その前まで真面目に聞いていなかって、
「あれ、かっこいい。なんの曲だったっけ?」と思って探したあと、ハマりました。

ギビチュミは、聞けば聞く程えっちぃですね。歌詞の意味を一つずつ拾って行くと赤面物です。
直接的な表現は何もないんですが、泣きそうな声で「欲しいよぅ…お願い…」って繰り返してて、
ギターの音がまた、物悲しく響いて、マイコーの歌声にバッチリ絡み付いてムードを高めているんですよ。あぁもうたまらん。
私はあまりギターの音は好きじゃないんですが、これは別格です。
ギターソロの所は思わず聞き惚れてしまいますもん。スラッシュっていう人が弾いているんですが、
この人はBlack Or Whiteのギターも担当していますよ♪

Will You Be There

フリーウィリーという映画の主題歌にもなりました。
収録時間が7分40秒と長く、最初の聖歌隊らしき人たちのコーラスもなんとなく苦手で、
ファンになったときはあまり聞かなかった曲ですが、今では凄く好きです。
いろんな歌手の歌を聴くにつれて、ゴスペルミュージックにも触れる機会が多くなり、
宗教色があって、厳かな雰囲気が好きになって、この曲も聞けるようになりました。
自信をもって強いメッセージを伝え続けるマイコーですが、ここでは、心の中の弱さや、不安を表現していて、とても珍しい。
"But They Told Me
A Man Should Be Faithful
And Walk When Not Able
And Fight Till The End
But I'm Only Human"
スーパースターのマイコーでも、当然弱気になったり、不安になるし、いつも傍に居てくれる人が必要です。
こういう、不安な気持ちを表現した歌も、すごく心打たれるし、共感できるので、もっと歌って欲しいなぁと思うんですが、
基本的にマイコーはタフなので、あんまりさらけ出してくれないですね…
この曲を発表してから2年後、マイコーにとって辛い事が起きて、傍にいる人にどんどん裏切られることを考えると、やるせないです。

Keep The Faith

このアルバムの中では一番好きな曲。
震えるような歌いだしの声が凄く奇麗で、一発で惚れ込みました。
2番の"uh-----ahh--ahh----"ってコーラスもツボだなぁ♪
マイコーの歌声って、凄く説得力があるんですよ。"信念を貫け"っていう、ありがちなメッセージでも、マイコーは全身で体を張って、魂レベルで表現してくるから、心に響きます。
きっと上手く行くから、あきらめないで、自分を通して!っていうメッセージが、いつも自分の励みになっています。
へこたれそうになっても、マイコーのDon't let nobody take you down!!ていう声を聞いてもう一度がんばります。
この歌はマイコー自身の生き様も映し出していると思う。自分の中に、美しい信念を抱いて、それを突き通す生き方ってかっこいいし、私も真似したい。

Gone Too Soon

エイズで亡くなった、ライアン・ホワイト君に捧げられた歌。
美しい比喩表現とピュアな歌声で、友人を悼む気持ちが表現されています。
ただ、絶望しているような感じはしていなくて、何か希望のようなものも込められている気がするのが不思議。
天国に行っても、二人はどこかでつながっているような感じがします

Dangerous

静かなのに、聞いてると曲に入り込んで熱っぽくなってしまうミステリアスな曲。
マイコウのささやきが渋くて、かっこよくて、しびれる。
ちょっと鼻にかけて、ねじりだすような声が新しい。