HIStory: Past, Present and Future, Book I

history

これまでの作品にない泥臭さがある。
このアルバムが出る前、マイコーはとても辛い経験をした。
傷つき、辱められ、裏切られ、荒れていた。
このアルバムで表現されているのは、世の中の汚い部分、自分が感じた怒り、恨み、悲しみといった、負の要素が多い。
そういった強烈な物を、フィルターを通さずに、ありのままぶつけたようなすさまじさを感じる。
だが、文句を言っているだけじゃなくて、そういった困難を乗り越えて行こうとする強さも伝わってくる。
しかも、周りと同じように汚い手を使ったり、妥協したりして乗り越えて行くのではなく、
リスクを承知で、今までと同じように、まっすぐ突き進んでいく態度を示している。
辛い事や激しい感情を、歌で表現し、浄化して、再び歩き出す。
大変なことだと思う。でも、そんな強くて美しいマイコーの生き様に、中1の時の私は幼いながらも心を打たれた。
もしもマイコーが誰からも攻撃されず、全てが上手く行っているスーパースターだったら、私はあまり興味を持たなかったかもしれない。
死ぬ程辛い事があっても、自分を信じて、信念を貫いて、乗り切って行く姿に魅力を感じたから。

Scream

妹、ジャネットとのデュエット。
デゥエットっていうより、この二人は立派なユニットになってると思います。息がぴったり。
ジャネットの声、かわいいですね。
後半で、「ほっ、ほー、ほ。ほ、ほぉーっ」って言い合う所がありますが、ジャネットの方がはりきってるように思えるのは私だけ?
「あらゆる不公平に耐えられない。叫びたい!」っていう激しい歌詞ながらも、
曲調はおしゃれでキャッチーな感じにしてありますね。
ジャネットとマイコーって普段はどんな会話してるんだろう…

They Don't Care About Us

人々が蹴られ、殴られ、水に沈められ、叫ぶ。
蠅にたかられた子供はカメラを睨め付ける。子供があんな表情をするなんて…
刑務所の中の囚人達(有色人種が目立つ)は怒りを机にぶつけ、その度に画面が揺れる
牢屋に入れられ、手錠をかけられたマイコウは歌で抗議する

奴らは結局、僕達のことなんてどうでもいいんだ!

「あまりに過激すぎる」という理由で放映が禁止されてしまった"They Don't Care About Us"のプロモーションビデオである。

この歌を最初に聞いたとき、軽快で力強いメロディーと、さわやかな歌声に聞き惚れたものの、
歌詞が断片的で、この映像の意味もよく分からなかった。
数年経ったあと、タイトルの"they"の意味が"government"という意味なんだろうと思ったが、それでもあまりピンと来なかった。共感出来る経験がないので。

だけど、今ではもっと広い意味で取っている。
"they"というのは、本来自分を守ってくれるはず"だった"人たちの事ではないのか。

93年に彼がどん底に落ちた時、警察はマスコミから裏金をもらって嘘を付き、多くの関係者達は彼から離れ、姉さえ彼を裏切った。

国家や警察はもちろん、自分の親、兄弟、友達、上司、先生が、
自分の事なんてどうでも良いと思っていたことを知った時に感じる、
自分の無力さと、世の中の理不尽さに対する「悔しさ」を歌っている曲なんだと今では思っている。

分かりやすい例を挙げるなら、学校の教師が生徒がいじめに苦しんでいるのを知っていながら、
全く何もしない時に感じる感情といったところか。
この感情と根本的には同じものを歌っているのだと思う。

今まであまり共感できなかった曲だけど、5年聞き続けてやっとそこまで分かった。マイコーの作品は深い。
これからまた新たな発見があるのだろう。

Stranger In Moscow

雨の日に聞くと気持ちいい。なんとなく寂しくて、寒々しくて、色が無いような雰囲気の曲。
歌詞も、すごく詩的で、はっきりと表現せずに、余韻を残している感じ。
初めて聞いた時は、単調でつかみにくい曲だな〜と思っていたけど、
あんまり深く考えずに、しみじみした余韻とか雰囲気を味わって、身を任せると良い感じで聞ける。

This Time Around

「ぁらがらがらがらが」が新鮮。
あと、"You really wanna get me"辺りの、ノイズがかった声が妙に可愛い。女の人みたいだった。
歌詞も音もシンプルで聞きやすい。

Earth Song

前半は悲しそうな声で地球の傷を表現し、後半は張り裂けそうな声で大地の怒りを表現しています。
初めて聞いたときは、最後の方のあまりに感情的な歌い方が、苦手だったんですが、
地球の現状の厳しさを、必死に伝えているんだなと、真摯に受け止められるようになりました。多分、苦手だった頃の私は現実から逃げていたんだと思います
大サビに入る前の、泣きそうな声も心打たれます。
マイコーと大地の悲しみや怒りを感じる一曲。

D.S.

とある嫌な検察官についての曲。
ギター音とがなり声がかっこいいです。
タイトルは変えたものの、実際の歌声を聞くと発音がほぼあの人(笑
実質個人攻撃をしていることについてはあまり賛同できない…

Money

低いささやき声がすっごくしびれる。
ちょっと邪悪な感じが魅力敵。
悪魔の誘惑ってこんな風に聞こえるのかしら。
最初歌詞の和訳見たときは衝撃だった。なんだってなんだって金のためならなんでもする!

Come Together

ビートルズのカバー。
原曲よりもさらにねっちょり、色っぽく歌っています。マイコーに合った曲ですね~。
Badの頃も、Moonwalkerという映画でこの曲をカバーしています。
マイコーは長いスパンで仕事をしているんですよ~。
以前、没になった曲を、数年後に使ったりします。
例えば、"Earth Song"はDangerousの、"Dangerous"はBadの未発表曲だったり。

You Are Not Alone

これ、最初に聞いた時は歌詞に違和感を感じつつ、タイトル通りの趣旨の歌なんだろうなと思ってきいていた。一人じゃないよ~。って。

でも、ナンバーワンズの翻訳を見てびっくり。
サビのYou are not aloneの部分は、マイコウからのメッセージじゃなくて、
独りぼっちのマイコウの幻聴だったからだ。
確かにそう取った方が、歌詞の意味はすんなり理解できる。

ということは、この歌ではマイコウって結局は独りなんだろうか。
孤独のなかで聞こえる温かな幻聴を敢えてサビにすることによって、
寂しさをよりいっそう引き立てているのではないか。

マイコウはこの歌の事を「メロディーが簡単で、歌詞に深い意味がある曲」と言っていた。
彼の作品についての解釈は自由だけれど、本人がどんな気持ちを込めて歌っているのかは気になる。
だが、例えどんな意味が込められているにしろ、
この曲が私の世界で一番のお気に入りであることに変わりはない。
1フレーズごとの歌い方が神で、しかもその歌い方はあれこれと飾ったものというよりは、
魂をそのまま奇麗に表現したような分かりやすさがあり、
メロディーも超簡単なのに魔法みたいに心に響く。

アメイジングです。
最初にこの曲を聴いた時の衝撃は忘れられない。

Childhood

マイコー曰く、「最も自伝的な歌」
彼の悲しみや、憧れが、静かなメロディーに込められていて、なんとも言えない気分になる。
"before you judge me, try hard to love me"は印象的な歌詞だけど、現実的ではないと思う。
マイコーは、それこそ"judge"される立場にあったわけだけど、その時に「その前に僕を愛して!」て言うのは、難しい要求だ。
例え今、マイコーのファンで、「あったりまえじゃん!愛してるよ!!」と思っている人でも、
最初から愛するつもりで、彼の曲を聞いたりした訳じゃない。興味を持って、聞いてから、「判断」したと思う。
そもそも私たちは、初めて会う人と接する時、「この人は自分の味方か、敵か。」「上か、下か」などと、判断しようとするのではないか。
愛そうとするのは、その後じゃないだろうか。
でも、よく考えてみたら、マイコーは違うのかもしれない。
人を判断する前に、愛そうとするのかもしれない。
恵まれない人々に献身した事で有名なマザーテレサの言葉に、「私は全ての人々の中に、神が見える」というものがある。
マイコーとマザーテレサの共通点は、たくさんの人々に、惜しみなく恵みを与えることだ。
そうするためには、人を判断する前に、無条件に愛することが必要なのかもしれない。

Tabloid Junkie

かっこいい!!すっごくかっこいい曲。
マスコミに対する抗議の歌なんだけど、内容知らなくても十分聞ける。キャッチーですね。
音遣いとボイパがおされ!特に私はサビ前とサビのコーラスが大好き。
奇麗で、繊細で、それでいて鋭い。また進化したな、マイコー。
サビの歌詞はストレートで分かりやすいですが、AメロBメロの歌詞は結構複雑で、言葉遊びもあって、難しいです。
かなりきっつい言葉が書いてあります。"You're a parasite in black and white"とか"You'd crucify the Lord"とか、グサっとくる。

2 Bad

おまえら、散々僕の事をバカにしてたけど、僕はへっちゃらさ!!残念だったな。ざまーみろ。あっかんべー!!
ていう曲です。(笑
マイコーは絶好調で叫びまくり。"too bad, too bad about it"では足りないのです。
とぅっべぇあ〜っとぅっっべぇああ〜〜だばりっだっっ!!と言わなければいけません。
聞いている方もスカッとします。
大胆な歌い方とは裏腹に音遣いは細かく、繊細。
同じメロディーでも1番と2番で音が違ったりして、聞く度に新しい発見があって楽しみな曲。

HIStory

タイトルが「歴史」なだけあって、壮大な曲。
"Every legend tells of conquest and liberty"
歴史って結局同じ事の繰り返しなんですよね。でもその中で何かを残したり、人々が調和できたらいいなぁ…とか、そんな気持ちになります。
最後の方で女の子の声がして、良い感じ。ヒルザワの女の子とはまた違って、 強い意志を感じる声。マイコーと少女の組み合わせは良いな

Little Susie

「美」と「ホラー」が融合した曲。
古い教会の写真等で、凄く荘厳な美しさを感じるけど、ちょっと不気味で怖いものってないですか?
この曲もそんな感じ。私にとっては"怖い"曲で、怖がりの私は、最初のゆっくりオルゴールが流れて、女の子の「らららら…」って声が聞こえるところでギブアップだったのですが、
よ~く聞いてみると、バイオリンの音とか、コーラスとか、すごく手が込んでて芸術的で、奇麗です。
マイコーの声も、いつものように奇麗で優しいのに、どこか不気味な影を落としている。表現のバリエーション多いなぁ…
女の子が不遇の死を遂げる歌詞なので、最初は何かリアルな事件を暗示してて、深い意味を持ってるのかな~と思ってたけど、よく分からないので雰囲気だけ味わっています。

Smile

とても有名な曲のカバー。
このアルバムで、マイコーはいろんな気持ちを表現してきたけど、最後に「何があっても微笑んでいよう」っていう歌で終わらせる所が、尋常じゃなくかっこいい。
こんなにかっこよくて意味深な終わり方のアルバム、他に無いよ!!
全体的に大人しい感じの曲だったので、最初に聞いたときはあんまりピンとこなかったのですが、
バイオリンの音とか、マイコーの一つ一つの歌い方を聞いていると、すごく心がこもっていて、たまらないです。
受験生で凄くしんどいときに、"that's the time you must keep on trying"と自分に言い聞かせて、この曲に何度もお世話になりました。